中國のタングステン・モリブデン資源及びその管理政策についての分析
中國のタングステン・モリブデン資源及びその管理政策についての分析 國土資源部情報センター資源分析室 主任 曹新元
図Ⅱ-3-1. 中國のタングステン鉱とモリブデン鉱確認済み資源埋蔵量の地域分布 (2) 中國タングステン・モリブデン資源の優位性の 減衰 中國タングステン・モリブデン資源の優位性の減衰 が起きていると言われる。たとえば、資源埋蔵量総量 は増えているが、伸び率が低下している、埋蔵量採掘 量比が下り続け、世界の平均水準を大きく下回ってい る、資源埋蔵量の利用度が強化される一方で、予備資 源のゆゆしい不足が見られる等の兆候としてこれらが 見られる。 図Ⅱ-3-2 及び図Ⅱ-3-3 にタングステン及びモリブデ ンの中國の資源埋蔵量の推移を示す。 (3)資源量の低下 資源埋蔵量の利用度が強化される一方で、予備資源 のゆゆしい不足が見られる ① 中國のタングステン鉱の開発利用度は高く、94%の タングステン鉱基礎埋蔵量が既に開発占用されて いる。2006 年を例にとると、既に既利用鉱區は218 ジェ クトについては、暫定的に採掘許可証の認可及び交付 を禁止し、用地の認可も暫定的に禁止する。鉱山建 設規模が中小型の石炭・モリブデン等の4 鉱種の新規 採掘プロジェクトについては、暫定的に採掘許可証の 認可及び交付を停止し、用地の認可も暫定的に禁止す る。 2006 年、國土資源部は「探査許可証・採掘許可証 権限の規範化に関する問題についての通達」を公布、 その內容はタングステン・モリブデン鉱の探査及び採 掘に関わる。 「通達」の第一部「探査・登記」中の第三條と第四 條の規定は以下のとおり。 第三條: 「タングステン・錫・アンチモン・希土鉱物 の探査投資が5 百萬・人民元(5 百萬・人民 元を含む)または探査區域の面積が15km2 (15km2 を含む)の探査プロジェクトについ ては、國土資源部が探査許可証を交付し、そ の他は省級人民政府國土資源主管部門に授権 して探査許可証を交付する。」
図Ⅱ-3-3. モリブデン資源埋蔵量の推移 (684) 2009.1 金屬資源レポート99 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム 第四條: 「油頁巖・金・銀・プラチナ・マンガン・ク ロム・コバルト・鉄・銅・鉛・亜鉛・アルミ・ ニッケル・モリブデン・燐・カリウム・スト ロンチウム・ニオブ・タンタルの探査投資が 5 百萬・人民元(5 百萬・人民元を含む)の 探査プロジェクトは、國土資源部が探査許可 証を交付し、その他については省級人民政府 の國土資源主管部門に授権し探査許可証を交 付する。 (1)鉱業権の管理 第二部「採掘・登記」の第十條と第十一條の規定は以 下のとおり。 第十條: 「タングステン・錫・アンチモン・希土鉱床 の埋蔵量規模が中型以上のもの(中型を含 む)については、國土資源部が採掘許可証を 交付し、その他については省級人民政府の國 土資源主管部門に授権し採鉱査許可証を交付 する。」 第十一條 :「金・銀・プラチナ・マンガン・クロム・ コバルト・鉄・銅・鉛・亜鉛・アルミ・ ニッケル・モリブデン・燐・カリウム・スト ロンチウム・金剛石・ニオブ・タンタル鉱床 の埋蔵量規模が大型以上のもの(大型を含む) については、國土資源部が採掘許可証を交付 し、その他については省級人民政府の國土資 源主管部門に授権し採掘許可証を交付する。 外商投資による鉱物資源の探査採掘は、外商投資産 業指導目録の関連規定に合致していなければならず、 本通達が內資探査採掘について規定している許可証交 付権限に基づき探査・採掘許可証を交付する。 (2)産業政策 外商投資産業指導目録(2007 年改訂) 禁止類目録の最新規定では継続して外商投資による 希土の探査、採掘、選鉱及び放射性鉱物の探査、採 掘、選鉱を禁止すると同時に、「タングステン・モリ ブデン・錫・アンチモン・蛍石の探査、採掘を禁止す る」という內容が追加された。なお、2004 年版目録 においては、後者は制限類に分類されていた。 (3)採掘総量規制 2002 年より全國鉱物資源計畫及び國內外の鉱物資 源需給動向に基づき、國は希土・タングステン・錫・ アンチモン・石炭・モリブデン・重晶石・蛍石等の採 掘量過剰の8 鉱種に対しマクロコントロールを実施し ているが、中でも採掘総量がマクロコントロールの主 な政策手段になっている。採掘総量の規制は、國土資 源部が年間採掘総量指標を省(區・市)に下達し、省 (區・市)國土資源主管部門が逐一各鉱山の年間採掘 量を査定する。採掘総量指標には主採掘指標と総合利 用回收(指標)がある。 2008 年のタングステン精鉱総量:66,850t(WO3 65%) 內訳: 主採掘タングステン59,440t で2007 年比8.45% 増 総合利用回收7,410t で66.14%増 総合利用回收指標の伸び率がタングステン鉱の主採 掘指標より明らかに高いことから、目下、國が採掘総 量規制政策によってタングステン鉱の総合回收利用を 奨勵していることが容易に理解できる。特に隨伴タン グステン、低品位タングステンの総合回收利用及びタ ングステンの採掘、選鉱総合回收率の向上を奨勵して いる。 (4)輸出割當制 中國はタングステン・モリブデン鉱製品に対し積極 的な割當制を実施している。すなわち、國外市場の容 量及びその他の狀況に基づいて実施される輸出割當量 による管理である。中國は2003 年にはタングステン、 2007 年(中期)にはモリブデンに対しそれぞれ輸出 割當制を実施した。各輸出企業の輸出割當量は國の 商務部門が各方面の狀況を鑑み確認・公布する。2008 年の中國の輸出割當量はモリブデン金屬26,300t、タ ングステン金屬14,900t になっている。 (5)関稅政策 関稅政策は間接的に商品の輸出入総量を調節し、そ れにより産業及び資源の動向に影響を與えるための重 要な手段の一つである。資源狀況がますます厳しさ が増す中、中國政府はしばしば関稅という方法によっ てタングステン・希土・モリブデン等の希少金屬製品 の輸出のハードルを引上げ、國內の亂採掘によるバラ ンスを欠いた輸出を制限し、これらの戦略的資源が過 度に消費されないように保護を行っている。2007 年6 月1 日より、國務院関稅稅則委員會はタングステン・ モリブデン・希土等の希少金屬の製品に対し15%の 輸出暫定関稅を実施し、酸化モリブデン・モリブデン 酸アンモニウム・モリブデン酸ナトリウム等の製品に は5 ~ 15%の輸出関稅を課している他、2008 年1 月 1 日からは酸化モリブデン・モリブデン鉄等の9 種の モリブデン製品に15 ~ 20%の輸出関稅を課している。 Ⅱ-3-3. 中國タングステン・モリブデン資源の管理及び 産業管理政策の動向 (1)探査と採掘のハードルをさらに引上げる タングステン・モリブデン資源及び産業の発展形勢 に基づき、最近は國家発展改革委員會と國土資源部が 頻繁に意思疎通と調整を行っているが、その中で発展 改革委員會は鉱物探査・採掘のハードルを設け、それ を引上げていくことを提案している。主に國有地探査 機関と國有大型企業に傾斜させることを提案している。 (2)資源政策と対外貿易政策の協調 現在実施している希土・タングステン・錫・アンチ (685) 100 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 モン・インジウム・モリブデン・タルク・フッ素石・ マグネシウム砂・白銀等の輸出制限類鉱物に対する輸 出割當制がWTO 規則に合致しないとして國外に非難 と不満が広がっているが、商務部門の専門家の多くは 國土資源部がタングステン等の鉱物に対して行ってい る採掘総量規制措置のほうがWTO 規則に対応する上 で割當制よりも有利であると考えており、2 つの「部」 がこうして鉱物資源の採掘と輸出に関し相互に制限的 政策をとり、協力して國益を守っていくことを提案し ている。その他の輸出制限類鉱物資源にも厳しく採掘 を規制する管理政策を実施し、川下の鉱物製品の輸出 を制限している鉱物についても抜本的な採掘規制措置 を行っていく。 (3) 國は「保護性採掘を行う特定鉱物の探査開発管 理規則」の公布を予定 現在、國土資源部は「保護性採掘を行う特定鉱物の 探査開発管理弁法」を起草中であり、保護型採掘を行 う特定鉱物の管理を強化していく。既にそれぞれ14 か所の関連省(區)の國土資源管理部門及び関連業界 の意見を募集しており、近々公布される予定である。 ①保護性採掘を行う特定鉱物を線引きした。 ② 保護性採掘を行う特定鉱物に対しては計畫的な探査 と開発を実施し、國土資源部が責任をもって鉱物ご とに計畫を作成し、探査・採掘の登記、認可を擔當 する。 ③ 保護性採掘を行う特定鉱物に対し採掘総量規制を実 施する。 ④ 保護性採掘を行う特定鉱物に対し原産地管理を実施 する。 ⑤ 保護性採掘に共生・隨伴特定鉱物採鉱権の設定及び 採掘管理についても特別規定を設ける。 ⑥ 鉱山採掘企業の保護性採掘を行う特定鉱物の総合採 掘と総合利用については、下達される保護性採掘の 特定鉱物採掘総量に従って生産を制限する。
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