中國タングステン産業と當面する課題
中國タングステン産業と當面する課題 中國タングステン協會 會長 周 菊秋
2008 年上期の中國タングステン産業 2008 年上期、全國タングステン業の生産量は成長 を維持したが、経済効果はマイナス成長となった。特 に製錬企業の利益が大幅減となった。タングステン業 界全體の利益の反落速度が速まったが、超硬合金とタ ングステン材の企業の利益はやや増加した。 年初の雨雪凍結被害、タングステン製品の輸出関稅 の引上げ、ドルの持続的切下げ、世界経済の成長減速 等の影響で、タングステン製品の輸出量が減少し、國 內のタングステン市場価格も上昇し後やや下落した。 國際価格も小幅な下落を見せた。 タングステン鉱の採掘コストが引続き上昇し、製錬 企業の原料、動力、人件費も高止まりしている。 (1)生産 全國のタングステン精鉱生産量は安定維持。中國有 色金屬工業協會の統計によると、2008 年上期の全國 タングステン精鉱の生産量は37,137t(WO3 65%)で、 2007 年同期の39,664t より6.37%減少した(表Ⅱ-1-1)。 2008 年は、年初以來、全國タングステン精鉱生産量 は前年同期比で6 か月連続して減少し、前5 か月は前 年比でそれぞれ18.37%、26.53%、19.27%、12.00%、 4.01%減であった。 製錬加工製品の生産量に増減があり、伸び率がやや 減少した。タングステン製錬加工企業66 社が提供し たデータが示すように、前年同期比でAPT+12.07%、 酸化タングステン(WO3)+1.48%、タングステン粉 +56.81%、炭化タングステン(WC)+31.34%、タン グステン棒+13.87%、超硬合金+16.97%、タングステ ン線+1.92%、フェロタングステン(FeW)+18.76% と、主要タングステン製品の生産量がそれぞれ増加し た。AMT と混合料の生産量は前年同期比でそれぞれ -11.12%と-1.98%であった。
広 東249 1,222 -67.17 広 西327 1,395 30.58 四 川12 17 雲 南19 130 福 建235 781 浙 江41 70 -42.15 內モンゴル340 763 72.05 河 南405 2,045 57.31 湖 北34 98 32.30 全 國7,636 37,137 -6.37 (単位:t、WO3 65%) (2)利益 多くの企業で主営業収入が増えたが、納稅額が減 少している。タングステン企業83 社の主営業收入は 前年同期比24.12%増であったが、納稅額と利益額は 前年同期比で-7.49%と-21.39%であった。その內訳 としては、タングステン鉱山企業26 社、超硬合金企 業42 社、タングステン材料メーカー3 社、フェロ・ タングステン・メーカー3 社の主営業務收入は前年 同期比でそれぞれ+6.71%、+13.54%、+4.29%、+ 13.13%であった。 タングステン製錬企業9 社の主営業務收入が前年同 期比-33.19%となった。 タングステン鉱山企業26 社、タングステン製錬企 業9 社、フェロ・タングステン・メーカーの利益は前 年同期比でそれぞれ-0.43%、-150.73%、-23.51% となった。 超硬合金メーカー42 社とタングステン材料メー カー3 社の利益が前年同期比でそれぞれ+25.01%と +0.67%であった。 (3)輸出入 2008 年上期、タングステン製品は輸出関稅の引上 げ、元高、不安定な世界経済等の影響により、輸出業 者が厳しい狀況に押しやられ、輸出量が大幅に反落し た。輸入は小幅な増加で、輸出の製品構造に変化が生 じている。 2008 年上期、中國が輸出したタングステン製品 は12,809t(金屬量、超硬合金は含まず、以下同じ) で、前年同期比で17.53%減少した。そのうち輸出が 6,466.6t で年間輸出割當額の43.4%を占めた。輸出額 は4.42 億US $で前年同期比21.03%減となった。輸入 品は3,101t で前年同期比+6.31%であった。そのうち (672) 2009.1 金屬資源レポート87 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム タングステン精鉱輸入が2,493t で前年同期比+8.75%、 輸入額が0.82 億US $で前年同期比+3.82%であった。 ・ タングステン製品の輸出は以下のとおり。中間 製品の輸出が主であるという局面が前年同期に比 べやや改善されたが、中間製品が依然輸出総量の 90.95%を占め、二次加工製品であるタングステ ン線とタングステン材の合計は9.05%で、前年同 期比3.79 ポイント上昇したに過ぎない。タング ステン製品は主に西歐州やアジアに輸出されてい るが、これらの地域向けの輸出量は全體の78.5% を占め、前年同期比3.3 ポイント減となった。米 國向け輸出は18.46%、その他地域への輸出が 3.03%を占めた。 ・ タングステン製品の輸入は以下のとおり。內訳は タングステン精鉱の輸入が2,492.7t で輸入総量の 80.38%を占め、前年同期比で1.58 ポイント上昇し た。スクラップ輸入は171.9t で5.54%を占め、前 年同期と同水準を維持した。輸入元は主にアフリ カと西歐州であり、総量の52.51%を占めている。 (4)政策環境 2008 年上期、9 部門が共同で鉱山資源開発に関する 秩序を全國的に整理・規範化を「見直す」アクション プランを展開し、タングステン鉱資源開発分野の各種 違法行為を厳しく取り締まり、タングステン鉱採掘に 対する規範整備業務における死角を取除き、資源開発 の整理・統合を強力に推し進めた。 國は稅制調整の手段と政策體系を改善し、輸出入稅 制を活用し、「高消費・高汚染・資源型」製品の輸出 を引続き抑制した。 國務院関稅稅則委員會が「2008 年の関稅実施案に 関する通知」(稅委會[2007]25 號)を下達し、2008 年1 月1 日よりタングステン製品の輸出暫定関稅を徴 収することとその引上げが明確になった。 ・ 2007 年1 月1 日から5 ~ 15%の輸出暫定関稅を 実施した上で、関稅稅率を引上げた。タングス テンを含む鉱山灰や殘渣の輸出暫定稅率が10%、 炭化タングステン・タングステン粉・未鍛造タン グステンの輸出暫定稅率が5%、スクラップの輸 出暫定稅率が15%で據え置かれた以外、三酸化 タングステン・APT・AMT(2007 年6 月1 日徴 稅開始)は5%から10%に、フェロタングステン は10%から20%に、フェロ・シリコ・タングス テンは15%から20%(2007 年6 月1 日に10%か ら15%に調整)にそれぞれ引上げられた。 ・ 2007 年7 月1 日より、タングステン酸・青酸化 タングステン・その他のタングステン酸化物及び 水酸化物・タングステン酸ナトリウム・タングス テン酸カルシウム・AMT・その他のタングステ ン酸塩・未焼結金屬炭化物(自身の混合または金 屬接著剤との混合を含む)等のタングステン製品 の輸出還付稅を撤廃し、かつタングステン線やそ の他タングステン製品の輸出還付稅を5%に引下 げたのに続き、タングステン酸・タングステン酸 ナトリウム・タングステン酸カルシウム・その他 タングステン酸塩・その他タングステン酸化物と 水酸化物に対し10%の輸出暫定稅率を執行した。 ・ 商務部・稅関総署(2007)110 號公告で、2008 年 1 月21 日よりタングステン酸ナトリウム・タン グステン酸カルシウム・その他のタングステン酸 塩を加工貿易禁止類商品目録に新たに加えられ た。これにより加工貿易禁止類とされたタングス テン商品は15 品目となった。 ・ 商務部が公布した2008 年のタングステン製品輸 出割當額指標は1.49 萬t(金屬量換算)で、昨年 より5%減少している。 ・ 継続的ドル安、世界経済の減速、タングステン製 品の輸出暫定関稅の徴収開始と稅率の引上げ、マ クロ調整政策の効果の顕在化等の影響で、タング ステン製品の輸出業者は厳しい環境に直面してい る。 Ⅱ-1-2. 需給狀況及び中國のタングステン資源埋蔵量 (1)中國の市場需要 2007 年、國內経済は依然急成長を維持し、GDP は 11.4%成長した。全國の都市固定資産投資は137,239 億元で24.8%増であった。全國の不動産開発投資額は 25,280 億元で、30.2%伸びた。タングステン消費に直 接関係する主要工業生産品の生産量はやや大きな伸び 率を維持し、國內の経済成長がタングステン需要の増 加を促している。 ここ數年、タングステン消費量は安定的に増加して おり、2007 年の國內消費量は2.5 萬t(W 金屬量)を 超え、2006 年の2.35 萬t より6.38%伸びた。2007 年 の國外需要も依然高いレベルを維持し、全世界の消費 量は6 萬t(W 金屬量)を超えた(図Ⅱ-1-1)。 2008 年上期の國內総生産は前年同期比10.4%増で 引続きタングステンの需要を牽引している。 (2)世界のタングステン消費 2007 年の全世界のタングステン消費量は65,200t で 2006 年より5.03%増、1998 ~ 2007 年の年平均消費量 の伸び率は5.34%であった。中國消費量が全世界の 38.34%を占めている。 (3)タングステンの供給狀況 タングステンの市場への供給は基本的に安定してい る。 2007 年、タングステン精鉱の供給と國內外市場の 需要はほぼバランスがとれていたが、ますます増強傾 向にある國內の製錬加工能力と精鉱需要との間の依然 矛盾が存在している。 2007 年、有色金屬協會の統計による全國タングス テン精鉱生産量は80,438t(WO3 65%)であった。 (673) 88 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 2008 年上期の全國タングステン精鉱生産量は37,137t (WO3 65%)である。 (4)中國タングステン資源埋蔵量 國土資源部によると2007 年末現在のタングステン 鉱の確認埋蔵量は551.55 萬t で前年比6.8 萬t・1.21% 減となった。 江西省のタングステン資源埋蔵量は96.70 萬t(WO3) で全國総量の17.53%を占め、湖南省の埋蔵量は192.58 萬t(WO3)で全國の34.91%を占めている。 (5)今後の展望 業界の政策レベルから見ると、タングステン製品の 輸出割當額を年々減らすことは、短期的には輸出に影 響が出るが、長期的に見ると、製品の構造調整を奨 勵し、中低レベルの製品の輸出を抑制し、一次製錬加 工への盲目的な投資を制限するための重要な措置とな る。輸出稅還付政策から還付率の引下げ、還付稅の撤 廃、輸出関稅の徴収という輸出関稅政策の段階的調整 は、製品の輸出奨勵から輸出制限への重要な政策転換 であり、大勢の赴くところである。また、國の外貨準 備高の増加スピードを緩和し、輸出製品の構造を調整 し、科學的発展と持続可能な発展を促進する上での重 大な政策決定でもある。 ここ數年の國內タングステン市場の狀況から見る と、國內経済は2 ケタの成長率を維持し、2008 年上 期の國內総生産も前年同期比10.4%増となっている が、これが需要の安定成長を後押ししている。一方、 國のマクロ政策の調整、採掘総量拡大傾向の抑制、関 稅の引上げによる輸出規制等が、産業の構造調整、輸 出製品構造の最適化、輸出価格の安定的値上げを強力 に促進していくものと思われる。 國際タングステン市場の狀況から見ると、2001 年 以前の中國の製品輸出の年間平均価格は8,000US $/t ( 金屬、以下同じ) 未満であったが、2006 年には 30,000US $/t 超の34,706US $/t となり、既に3 年間安 定的に30,000US $以上を維持している。これが國際市 場の価格安定化のベースになっている。2008 年の世 界経済は変動的で成長スピードも鈍化し、それが國際 市場の需要の安定成長と安定価格にマイナス要因とな りえるが、その影響は限定的なものと思われる。 國際タングステン市場価格は今後も安定的に推移 し、小幅な揺れが予想される。 Ⅱ-1-3. 中國タングステン産業における課題とその対策 中國のタングステン業界は(1)企業規模が小さい、 (2)數が多い、(3)産業集積度が低いという狀況はやや 改善されたが、まだ抜本的な改善には至っていない。 経済のグローバル化が進むにつれて、中國の大中型 タングステン企業の強大化を図る上で差し迫った戦略 課題は以下のとおりである。すなわち、APT・酸化タ ングステン・タングステン粉・炭化タングステンを原 料とするハイエンド超硬合金・耐磨耗部品・バイト・ 切削工具・高級タングステン線・タングステン材等の 製品ラインアップの充実を図り、グローバルな生産販 売體制とネットワークを構築し、買収・合併等の方法 で國內市場に立腳するか、または國內市場を強固なも のにし、國際市場のシェアを拡大し、國內資源の整理 統合を加速し、國際タングステン資源の開発利用を推 進し、生産・科研・販売・投資を一體化した集約化・ 國際化された大型タングステン企業集団を形成する。 今後は、タングステンの精密加工と二次加工分野に おける高技術含有量・高付加価値製品をめぐる市場競 爭の熾烈化が予想される。 (1)顕著な課題 タングステン製錬加工能力が過剰で、タングステン 採掘総量も依然多く、全體的な資源利用レベルが低い。 一次タングステン製品の低レベルな重複建設が続い ており、早急に製品構造の調整が必要で、粗放型経済 成長方式の転換が迫られている。 産業集積度が全體的に低く、業界全體の競爭力が脆 弱である。
図Ⅱ-1-1. 國內タングステン消費量の推移 (674) 2009.1 金屬資源レポート89 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム 市場管理が規範化されておらず、適當性競爭・密輸 等の問題が根治されていない。 ①タングステン製錬加工能力過剰の問題 APT・タングステン粉・酸化タングステン等の 一次産品とローエンド「普及品」超硬合金の生産能 力は依然過剰であるにも拘らず、投資プロジェクト がなお増え続けており、生産能力が拡大している (図Ⅱ-1-2)。 2007 年の統計結果は以下のとおり。 タングステン製錬企業51 社のAPT 生産能力は 16.10 萬t(建設中及び建設予定の1.4 萬t は除く)だ が、実際の生産量は5.49 萬t しかなく、能力の65.9% が遊休狀態にある。 タングステン粉メーカー69 社の生産能力は5.76 萬t(建設中の0.7 萬t は除く)だが、実際の生産 量はわずか2.19 萬t しかなく、能力の61.97% が遊 休狀態にある。 超硬合金メーカー198 社の超硬合金生産能力は 3.39 萬t(建設中及び建設予定の0.4 萬t は除く)だ が、実際の生産量はわずか1.65 萬t しかなく、能力 の51.32% が遊休狀態にある。 タングステン線メーカー33 社の生産能力は295.6 億m(建設中のプロジェクトは除く)だが、実際の 生産量はわずか212 億m しかなく、能力の28.28% が遊休狀態にある。 フェロ・タングステン・メーカー7 社の生産能力 は3.1 萬t だが、実際の生産量は1.2 萬t しかなく、 能力の61.29%が遊休狀態にある。
図Ⅱ-1-2. 2007 年主要タングステン製品生産能力と生産量の比較 ② 依然タングステン採掘総量が多く、全體的な資源利 用レベルが低い 2002 ~ 2006 年: 全國のタングステン年間採掘総 量指標は50,092t、実際の精鉱年 間生産量は75,762.6t で、年平均で 採掘規制指標を51.25%オーバー している。 2007 年: 全國の年間採掘総量指標は59,270t、実際 のタングステン精鉱年間生産量は80,438t で、年平均で採掘総量規制指標を35.71% オーバーしている。採掘総量規制は多少 効果を挙げているものの、全體的な採掘 量がまだ多過ぎる。 ・ 調査によると、中國のタングステン資源利用率 は依然低く、全國平均でわずか約50%である。 特に小規模企業の資源利用率が約30%と低く、 深刻な資源の浪費を招いている。 ③製品構造の最適化問題 ・ 高級・精密・最先端のタングステン製品の研究 開発が求められている。科學技術への投資、國 外の先端技術に追いつき追い越すこと、企業の 自主革新能力と革新意識の強化、業界全體の國 際競爭力のアップ等の面で依然後れをとってお り、産業構造の最適化とレベルアップの加速を 妨げている。 ・ タングステンの初・中級産品の輸出量が総輸出 量の85.8%を占め、初・中級産品の輸出を主と している局面の抜本的改善がなされていない。 ・ 國外の先進的なタングステン工業と比べ、中 國のタングステン工業は製品の最適化とレベル アップを加速し、獨自の知的財産権を擁する先 進的なタングステン製錬加工技術と製品を開発 し、企業の資本運営能力を向上させ、國際化さ れた管理理念を確立し、グローバルなマーケ ティング・ネットワークを構築し、國際市場に おける競爭力を適宜高めていく必要がある。
④全體的な競爭力が脆弱 中國のタングステン企業は小規模で數が多く、生 産集積度が低い。例えば、超硬合金企業は大小合わ せて600 余社あるが、規模が100t 超の企業は30 社 未満である。全國のタングステン精鉱生産割當枠內 の鉱山100 余社の中で、精鉱の年間生産量が500t 超 の企業はわずか32 社である。數社の大企業を除き、 ほとんどの製錬加工企業が一次加工品を生産してお り、製品のレベルと技術含有量が低い。研究開発へ の投入が少なく、ハイレベルな研究開発機関が少な く、ほとんどの企業で研究開発への投入が売上の 1%未満で、一部その比率が1 ~ 2%の企業もある。 一方、國外の同業企業のそれは4 ~ 5%に達してい る。國外企業との格差が大きく、技術革新能力が劣 り、科學技術の進歩のタングステン業の経済成長へ の貢獻度も低い。自主知的財産権を持つ高エンド製 品を研究開発し、企業のコア競爭力と業界全體の競 爭力を向上させる必要がある。 (2)対策提案 ① 総量規制はタングステン業の経済発展方式を転換す る上でのキーポイントであり、各「見直し」措置を 適切に実行し、タングステン鉱の採掘を規範化し、 採掘量を抑制する。 ② 科學的発展観を徹底させ、國が発表した一連のタン グステン産業政策を真摯に執行し、一次産品生産能 力の盲目的な拡張を抑制する。 ③ 地質探査を強化し、タングステン業の持続可能な発 展のための資源を確保する。 ④ 市場行動を規範化し、悪性競爭を抑制し、密輸を取 り締まる。 ・ 當面のマクロ経済とタングステン業の情勢の変化 を見極め、行政管理の権威性と執行力を高め、タ ングステン精鉱の採掘総量を厳しく管理し、中國 タングステン資源の優位性を充分発揮し、タング ステン業界參入関連の措置を速やかに策定・実行 し、低レベルの盲目的な重複建設を阻止し、タン グステン鉱採掘における「散在・混亂・根本を正 す」という目標を実現していく。 ・ 企業自身の発展の方向性を見極め、國が発表した 一連のタングステン産業政策をよく執行し、製品 構造の調整、産業の最適化・レベルアップを重視 し、コア競爭力とリスク回避能力を高め、タング ステン業経済のより良く、迅速な発展を促進して いく。 ・ 溫家寶総理がタングステン業百年の計として提示 した「保護と合理的な開発利用の方針を堅持し、 タングステン業の持続可能な発展を実現する」と いう重要な指示を実行に移し、科學的発展観を実 現し、企業の自主革新を加速し、業界の協調と自 律を強化し、市場とタングステン価格を安定さ せ、調和のとれたタングステン業を確立し、業界 全體で調和のとれたwinwin の関係と持続可能な 発展を実現する。 ・ 鉱山地質探査事業を強化し、循環型経済の発展と 環境保全に力を入れ、資源利用率を高め、資源の 再利用とリサイクルを提唱し、最大限かつ経済的 な方法で回収可能な全てのタングステン資源を回 収し、既存鉱山の利用年數の延長を図る。 ・ 國に対しタングステン製品加工貿易の管理を強化 し、加工貿易禁止類品目に関する政策を整備し、 政策によるバランシングと調整機能を発揮させる ことを提案する。 ・ 鉱山地質探査事業を強化し、循環型経済の発展と 環境保全に力を入れ、資源利用率を高め、資源の 再利用とリサイクルを提唱し、最大限かつ経済的 な方法で回収可能な全てのタングステン資源を回 収し、既存タングステン鉱山の利用年數の延長を 図る。 ・ 國に対しタングステン鉱資源の備蓄制度を構築す るように提案する、新たに発見された鉱區をよく 保護し、大中型生産鉱區に生産模規保護區を設け、 タングステン業の持続可能な発展のための資源を 確保する。 ・ 中國タングステン協會は引続き政府に対しタング ステン業の整理統合及び総量規制と輸出管理の強 化を働きかけ、中國タングステン業の全體的競爭 力を高め、科學的発展の促進に努める。 (676) 2009.1 金屬資源レポート91 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム Ⅱ-2-1. 2007 年の國內タングステン消費 2007 年8 月にウルムチで開催されたタングステン・ モリブデン會議における発表の中で個人的にまとめた 各種資料に基づき、2006 年の國內タングステン消費 數量は25,994t、すなち2.6 萬t と算出した。その內訳 は以下のとおり。 ・ 硬質合金で消費したタングステン金屬量は11,505.3t ・特殊鋼で消費したタングステン金屬量は8,251t ・ タングステン材料で消費したタングステン金屬量 は3,714t ・ タングステン化學工業で消費したタングステン金 屬量は2,524t 86 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 Ⅱ-1-1. 2008 年上期の中國タングステン産業 2008 年上期、全國タングステン業の生産量は成長 を維持したが、経済効果はマイナス成長となった。特 に製錬企業の利益が大幅減となった。タングステン業 界全體の利益の反落速度が速まったが、超硬合金とタ ングステン材の企業の利益はやや増加した。 年初の雨雪凍結被害、タングステン製品の輸出関稅 の引上げ、ドルの持続的切下げ、世界経済の成長減速 等の影響で、タングステン製品の輸出量が減少し、國 內のタングステン市場価格も上昇し後やや下落した。 國際価格も小幅な下落を見せた。 タングステン鉱の採掘コストが引続き上昇し、製錬 企業の原料、動力、人件費も高止まりしている。 (1)生産 全國のタングステン精鉱生産量は安定維持。中國有 色金屬工業協會の統計によると、2008 年上期の全國 タングステン精鉱の生産量は37,137t(WO3 65%)で、 2007 年同期の39,664t より6.37%減少した(表Ⅱ-1-1)。 2008 年は、年初以來、全國タングステン精鉱生産量 は前年同期比で6 か月連続して減少し、前5 か月は前 年比でそれぞれ18.37%、26.53%、19.27%、12.00%、 4.01%減であった。 製錬加工製品の生産量に増減があり、伸び率がやや 減少した。タングステン製錬加工企業66 社が提供し たデータが示すように、前年同期比でAPT+12.07%、 酸化タングステン(WO3)+1.48%、タングステン粉 +56.81%、炭化タングステン(WC)+31.34%、タン グステン棒+13.87%、超硬合金+16.97%、タングステ ン線+1.92%、フェロタングステン(FeW)+18.76% と、主要タングステン製品の生産量がそれぞれ増加し た。AMT と混合料の生産量は前年同期比でそれぞれ -11.12%と-1.98%であった。 Ⅱ. フォーラムにおける報告紹介 Ⅱ-1. 中國タングステン産業と當面する課題 中國タングステン協會 會長 周 菊秋 表Ⅱ-1-1. 全國タングステン精鉱生産量 省/自治區2008 年6 月2008 年上期累計2007 年同期比(%) 江 西3,437 18,668 7.12 湖 南2,538 11,948 -18.39 広 東249 1,222 -67.17 広 西327 1,395 30.58 四 川12 17 雲 南19 130 福 建235 781 浙 江41 70 -42.15 內モンゴル340 763 72.05 河 南405 2,045 57.31 湖 北34 98 32.30 全 國7,636 37,137 -6.37 (単位:t、WO3 65%) (2)利益 多くの企業で主営業収入が増えたが、納稅額が減 少している。タングステン企業83 社の主営業收入は 前年同期比24.12%増であったが、納稅額と利益額は 前年同期比で-7.49%と-21.39%であった。その內訳 としては、タングステン鉱山企業26 社、超硬合金企 業42 社、タングステン材料メーカー3 社、フェロ・ タングステン・メーカー3 社の主営業務收入は前年 同期比でそれぞれ+6.71%、+13.54%、+4.29%、+ 13.13%であった。 タングステン製錬企業9 社の主営業務收入が前年同 期比-33.19%となった。 タングステン鉱山企業26 社、タングステン製錬企 業9 社、フェロ・タングステン・メーカーの利益は前 年同期比でそれぞれ-0.43%、-150.73%、-23.51% となった。 超硬合金メーカー42 社とタングステン材料メー カー3 社の利益が前年同期比でそれぞれ+25.01%と +0.67%であった。 (3)輸出入 2008 年上期、タングステン製品は輸出関稅の引上 げ、元高、不安定な世界経済等の影響により、輸出業 者が厳しい狀況に押しやられ、輸出量が大幅に反落し た。輸入は小幅な増加で、輸出の製品構造に変化が生 じている。 2008 年上期、中國が輸出したタングステン製品 は12,809t(金屬量、超硬合金は含まず、以下同じ) で、前年同期比で17.53%減少した。そのうち輸出が 6,466.6t で年間輸出割當額の43.4%を占めた。輸出額 は4.42 億US $で前年同期比21.03%減となった。輸入 品は3,101t で前年同期比+6.31%であった。そのうち (672) 2009.1 金屬資源レポート87 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム タングステン精鉱輸入が2,493t で前年同期比+8.75%、 輸入額が0.82 億US $で前年同期比+3.82%であった。 ・ タングステン製品の輸出は以下のとおり。中間 製品の輸出が主であるという局面が前年同期に比 べやや改善されたが、中間製品が依然輸出総量の 90.95%を占め、二次加工製品であるタングステ ン線とタングステン材の合計は9.05%で、前年同 期比3.79 ポイント上昇したに過ぎない。タング ステン製品は主に西歐州やアジアに輸出されてい るが、これらの地域向けの輸出量は全體の78.5% を占め、前年同期比3.3 ポイント減となった。米 國向け輸出は18.46%、その他地域への輸出が 3.03%を占めた。 ・ タングステン製品の輸入は以下のとおり。內訳は タングステン精鉱の輸入が2,492.7t で輸入総量の 80.38%を占め、前年同期比で1.58 ポイント上昇し た。スクラップ輸入は171.9t で5.54%を占め、前 年同期と同水準を維持した。輸入元は主にアフリ カと西歐州であり、総量の52.51%を占めている。 (4)政策環境 2008 年上期、9 部門が共同で鉱山資源開発に関する 秩序を全國的に整理・規範化を「見直す」アクション プランを展開し、タングステン鉱資源開発分野の各種 違法行為を厳しく取り締まり、タングステン鉱採掘に 対する規範整備業務における死角を取除き、資源開発 の整理・統合を強力に推し進めた。 國は稅制調整の手段と政策體系を改善し、輸出入稅 制を活用し、「高消費・高汚染・資源型」製品の輸出 を引続き抑制した。 國務院関稅稅則委員會が「2008 年の関稅実施案に 関する通知」(稅委會[2007]25 號)を下達し、2008 年1 月1 日よりタングステン製品の輸出暫定関稅を徴 収することとその引上げが明確になった。 ・ 2007 年1 月1 日から5 ~ 15%の輸出暫定関稅を 実施した上で、関稅稅率を引上げた。タングス テンを含む鉱山灰や殘渣の輸出暫定稅率が10%、 炭化タングステン・タングステン粉・未鍛造タン グステンの輸出暫定稅率が5%、スクラップの輸 出暫定稅率が15%で據え置かれた以外、三酸化 タングステン・APT・AMT(2007 年6 月1 日徴 稅開始)は5%から10%に、フェロタングステン は10%から20%に、フェロ・シリコ・タングス テンは15%から20%(2007 年6 月1 日に10%か ら15%に調整)にそれぞれ引上げられた。 ・ 2007 年7 月1 日より、タングステン酸・青酸化 タングステン・その他のタングステン酸化物及び 水酸化物・タングステン酸ナトリウム・タングス テン酸カルシウム・AMT・その他のタングステ ン酸塩・未焼結金屬炭化物(自身の混合または金 屬接著剤との混合を含む)等のタングステン製品 の輸出還付稅を撤廃し、かつタングステン線やそ の他タングステン製品の輸出還付稅を5%に引下 げたのに続き、タングステン酸・タングステン酸 ナトリウム・タングステン酸カルシウム・その他 タングステン酸塩・その他タングステン酸化物と 水酸化物に対し10%の輸出暫定稅率を執行した。 ・ 商務部・稅関総署(2007)110 號公告で、2008 年 1 月21 日よりタングステン酸ナトリウム・タン グステン酸カルシウム・その他のタングステン酸 塩を加工貿易禁止類商品目録に新たに加えられ た。これにより加工貿易禁止類とされたタングス テン商品は15 品目となった。 ・ 商務部が公布した2008 年のタングステン製品輸 出割當額指標は1.49 萬t(金屬量換算)で、昨年 より5%減少している。 ・ 継続的ドル安、世界経済の減速、タングステン製 品の輸出暫定関稅の徴収開始と稅率の引上げ、マ クロ調整政策の効果の顕在化等の影響で、タング ステン製品の輸出業者は厳しい環境に直面してい る。 Ⅱ-1-2. 需給狀況及び中國のタングステン資源埋蔵量 (1)中國の市場需要 2007 年、國內経済は依然急成長を維持し、GDP は 11.4%成長した。全國の都市固定資産投資は137,239 億元で24.8%増であった。全國の不動産開発投資額は 25,280 億元で、30.2%伸びた。タングステン消費に直 接関係する主要工業生産品の生産量はやや大きな伸び 率を維持し、國內の経済成長がタングステン需要の増 加を促している。 ここ數年、タングステン消費量は安定的に増加して おり、2007 年の國內消費量は2.5 萬t(W 金屬量)を 超え、2006 年の2.35 萬t より6.38%伸びた。2007 年 の國外需要も依然高いレベルを維持し、全世界の消費 量は6 萬t(W 金屬量)を超えた(図Ⅱ-1-1)。 2008 年上期の國內総生産は前年同期比10.4%増で 引続きタングステンの需要を牽引している。 (2)世界のタングステン消費 2007 年の全世界のタングステン消費量は65,200t で 2006 年より5.03%増、1998 ~ 2007 年の年平均消費量 の伸び率は5.34%であった。中國消費量が全世界の 38.34%を占めている。 (3)タングステンの供給狀況 タングステンの市場への供給は基本的に安定してい る。 2007 年、タングステン精鉱の供給と國內外市場の 需要はほぼバランスがとれていたが、ますます増強傾 向にある國內の製錬加工能力と精鉱需要との間の依然 矛盾が存在している。 2007 年、有色金屬協會の統計による全國タングス テン精鉱生産量は80,438t(WO3 65%)であった。 (673) 88 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 2008 年上期の全國タングステン精鉱生産量は37,137t (WO3 65%)である。 (4)中國タングステン資源埋蔵量 國土資源部によると2007 年末現在のタングステン 鉱の確認埋蔵量は551.55 萬t で前年比6.8 萬t・1.21% 減となった。 江西省のタングステン資源埋蔵量は96.70 萬t(WO3) で全國総量の17.53%を占め、湖南省の埋蔵量は192.58 萬t(WO3)で全國の34.91%を占めている。 (5)今後の展望 業界の政策レベルから見ると、タングステン製品の 輸出割當額を年々減らすことは、短期的には輸出に影 響が出るが、長期的に見ると、製品の構造調整を奨 勵し、中低レベルの製品の輸出を抑制し、一次製錬加 工への盲目的な投資を制限するための重要な措置とな る。輸出稅還付政策から還付率の引下げ、還付稅の撤 廃、輸出関稅の徴収という輸出関稅政策の段階的調整 は、製品の輸出奨勵から輸出制限への重要な政策転換 であり、大勢の赴くところである。また、國の外貨準 備高の増加スピードを緩和し、輸出製品の構造を調整 し、科學的発展と持続可能な発展を促進する上での重 大な政策決定でもある。 ここ數年の國內タングステン市場の狀況から見る と、國內経済は2 ケタの成長率を維持し、2008 年上 期の國內総生産も前年同期比10.4%増となっている が、これが需要の安定成長を後押ししている。一方、 國のマクロ政策の調整、採掘総量拡大傾向の抑制、関 稅の引上げによる輸出規制等が、産業の構造調整、輸 出製品構造の最適化、輸出価格の安定的値上げを強力 に促進していくものと思われる。 國際タングステン市場の狀況から見ると、2001 年 以前の中國の製品輸出の年間平均価格は8,000US $/t ( 金屬、以下同じ) 未満であったが、2006 年には 30,000US $/t 超の34,706US $/t となり、既に3 年間安 定的に30,000US $以上を維持している。これが國際市 場の価格安定化のベースになっている。2008 年の世 界経済は変動的で成長スピードも鈍化し、それが國際 市場の需要の安定成長と安定価格にマイナス要因とな りえるが、その影響は限定的なものと思われる。 國際タングステン市場価格は今後も安定的に推移 し、小幅な揺れが予想される。 Ⅱ-1-3. 中國タングステン産業における課題とその対策 中國のタングステン業界は(1)企業規模が小さい、 (2)數が多い、(3)産業集積度が低いという狀況はやや 改善されたが、まだ抜本的な改善には至っていない。 経済のグローバル化が進むにつれて、中國の大中型 タングステン企業の強大化を図る上で差し迫った戦略 課題は以下のとおりである。すなわち、APT・酸化タ ングステン・タングステン粉・炭化タングステンを原 料とするハイエンド超硬合金・耐磨耗部品・バイト・ 切削工具・高級タングステン線・タングステン材等の 製品ラインアップの充実を図り、グローバルな生産販 売體制とネットワークを構築し、買収・合併等の方法 で國內市場に立腳するか、または國內市場を強固なも のにし、國際市場のシェアを拡大し、國內資源の整理 統合を加速し、國際タングステン資源の開発利用を推 進し、生産・科研・販売・投資を一體化した集約化・ 國際化された大型タングステン企業集団を形成する。 今後は、タングステンの精密加工と二次加工分野に おける高技術含有量・高付加価値製品をめぐる市場競 爭の熾烈化が予想される。 (1)顕著な課題 タングステン製錬加工能力が過剰で、タングステン 採掘総量も依然多く、全體的な資源利用レベルが低い。 一次タングステン製品の低レベルな重複建設が続い ており、早急に製品構造の調整が必要で、粗放型経済 成長方式の転換が迫られている。 産業集積度が全體的に低く、業界全體の競爭力が脆 弱である。
図Ⅱ-1-1. 國內タングステン消費量の推移 (674) 2009.1 金屬資源レポート89 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム 市場管理が規範化されておらず、適當性競爭・密輸 等の問題が根治されていない。 ①タングステン製錬加工能力過剰の問題 APT・タングステン粉・酸化タングステン等の 一次産品とローエンド「普及品」超硬合金の生産能 力は依然過剰であるにも拘らず、投資プロジェクト がなお増え続けており、生産能力が拡大している (図Ⅱ-1-2)。 2007 年の統計結果は以下のとおり。 タングステン製錬企業51 社のAPT 生産能力は 16.10 萬t(建設中及び建設予定の1.4 萬t は除く)だ が、実際の生産量は5.49 萬t しかなく、能力の65.9% が遊休狀態にある。 タングステン粉メーカー69 社の生産能力は5.76 萬t(建設中の0.7 萬t は除く)だが、実際の生産 量はわずか2.19 萬t しかなく、能力の61.97% が遊 休狀態にある。 超硬合金メーカー198 社の超硬合金生産能力は 3.39 萬t(建設中及び建設予定の0.4 萬t は除く)だ が、実際の生産量はわずか1.65 萬t しかなく、能力 の51.32% が遊休狀態にある。 タングステン線メーカー33 社の生産能力は295.6 億m(建設中のプロジェクトは除く)だが、実際の 生産量はわずか212 億m しかなく、能力の28.28% が遊休狀態にある。 フェロ・タングステン・メーカー7 社の生産能力 は3.1 萬t だが、実際の生産量は1.2 萬t しかなく、 能力の61.29%が遊休狀態にある。
図Ⅱ-1-2. 2007 年主要タングステン製品生産能力と生産量の比較 ② 依然タングステン採掘総量が多く、全體的な資源利 用レベルが低い 2002 ~ 2006 年: 全國のタングステン年間採掘総 量指標は50,092t、実際の精鉱年 間生産量は75,762.6t で、年平均で 採掘規制指標を51.25%オーバー している。 2007 年: 全國の年間採掘総量指標は59,270t、実際 のタングステン精鉱年間生産量は80,438t で、年平均で採掘総量規制指標を35.71% オーバーしている。採掘総量規制は多少 効果を挙げているものの、全體的な採掘 量がまだ多過ぎる。 ・ 調査によると、中國のタングステン資源利用率 は依然低く、全國平均でわずか約50%である。 特に小規模企業の資源利用率が約30%と低く、 深刻な資源の浪費を招いている。 ③製品構造の最適化問題 ・ 高級・精密・最先端のタングステン製品の研究 開発が求められている。科學技術への投資、國 外の先端技術に追いつき追い越すこと、企業の 自主革新能力と革新意識の強化、業界全體の國 際競爭力のアップ等の面で依然後れをとってお り、産業構造の最適化とレベルアップの加速を 妨げている。 ・ タングステンの初・中級産品の輸出量が総輸出 量の85.8%を占め、初・中級産品の輸出を主と している局面の抜本的改善がなされていない。 ・ 國外の先進的なタングステン工業と比べ、中 國のタングステン工業は製品の最適化とレベル アップを加速し、獨自の知的財産権を擁する先 進的なタングステン製錬加工技術と製品を開発 し、企業の資本運営能力を向上させ、國際化さ れた管理理念を確立し、グローバルなマーケ ティング・ネットワークを構築し、國際市場に おける競爭力を適宜高めていく必要がある。 (675) 90 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 ④全體的な競爭力が脆弱 中國のタングステン企業は小規模で數が多く、生 産集積度が低い。例えば、超硬合金企業は大小合わ せて600 余社あるが、規模が100t 超の企業は30 社 未満である。全國のタングステン精鉱生産割當枠內 の鉱山100 余社の中で、精鉱の年間生産量が500t 超 の企業はわずか32 社である。數社の大企業を除き、 ほとんどの製錬加工企業が一次加工品を生産してお り、製品のレベルと技術含有量が低い。研究開発へ の投入が少なく、ハイレベルな研究開発機関が少な く、ほとんどの企業で研究開発への投入が売上の 1%未満で、一部その比率が1 ~ 2%の企業もある。 一方、國外の同業企業のそれは4 ~ 5%に達してい る。國外企業との格差が大きく、技術革新能力が劣 り、科學技術の進歩のタングステン業の経済成長へ の貢獻度も低い。自主知的財産権を持つ高エンド製 品を研究開発し、企業のコア競爭力と業界全體の競 爭力を向上させる必要がある。 (2)対策提案 ① 総量規制はタングステン業の経済発展方式を転換す る上でのキーポイントであり、各「見直し」措置を 適切に実行し、タングステン鉱の採掘を規範化し、 採掘量を抑制する。 ② 科學的発展観を徹底させ、國が発表した一連のタン グステン産業政策を真摯に執行し、一次産品生産能 力の盲目的な拡張を抑制する。 ③ 地質探査を強化し、タングステン業の持続可能な発 展のための資源を確保する。 ④ 市場行動を規範化し、悪性競爭を抑制し、密輸を取 り締まる。 ・ 當面のマクロ経済とタングステン業の情勢の変化 を見極め、行政管理の権威性と執行力を高め、タ ングステン精鉱の採掘総量を厳しく管理し、中國 タングステン資源の優位性を充分発揮し、タング ステン業界參入関連の措置を速やかに策定・実行 し、低レベルの盲目的な重複建設を阻止し、タン グステン鉱採掘における「散在・混亂・根本を正 す」という目標を実現していく。 ・ 企業自身の発展の方向性を見極め、國が発表した 一連のタングステン産業政策をよく執行し、製品 構造の調整、産業の最適化・レベルアップを重視 し、コア競爭力とリスク回避能力を高め、タング ステン業経済のより良く、迅速な発展を促進して いく。 ・ 溫家寶総理がタングステン業百年の計として提示 した「保護と合理的な開発利用の方針を堅持し、 タングステン業の持続可能な発展を実現する」と いう重要な指示を実行に移し、科學的発展観を実 現し、企業の自主革新を加速し、業界の協調と自 律を強化し、市場とタングステン価格を安定さ せ、調和のとれたタングステン業を確立し、業界 全體で調和のとれたwinwin の関係と持続可能な 発展を実現する。 ・ 鉱山地質探査事業を強化し、循環型経済の発展と 環境保全に力を入れ、資源利用率を高め、資源の 再利用とリサイクルを提唱し、最大限かつ経済的 な方法で回収可能な全てのタングステン資源を回 収し、既存鉱山の利用年數の延長を図る。 ・ 國に対しタングステン製品加工貿易の管理を強化 し、加工貿易禁止類品目に関する政策を整備し、 政策によるバランシングと調整機能を発揮させる ことを提案する。 ・ 鉱山地質探査事業を強化し、循環型経済の発展と 環境保全に力を入れ、資源利用率を高め、資源の 再利用とリサイクルを提唱し、最大限かつ経済的 な方法で回収可能な全てのタングステン資源を回 収し、既存タングステン鉱山の利用年數の延長を 図る。 ・ 國に対しタングステン鉱資源の備蓄制度を構築す るように提案する、新たに発見された鉱區をよく 保護し、大中型生産鉱區に生産模規保護區を設け、 タングステン業の持続可能な発展のための資源を 確保する。 ・ 中國タングステン協會は引続き政府に対しタング ステン業の整理統合及び総量規制と輸出管理の強 化を働きかけ、中國タングステン業の全體的競爭 力を高め、科學的発展の促進に努める。
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