2007 年の國內タングステンの消費と供給
2007 年の國內タングステンの消費と供給 江西希有希土金屬タングステン集団有限公司 副総経済師 祝 修盛 年度2006 2007 対前年比 固定資産投資(億元) 109,870 137,239 +24.9% GDP 総額 (億元) 210,871 246,619 +17.0% 鋼(百萬t) 47,339.6 48,966.0 +3.4% セメント(億t) 12.4 13.6 +9.7% 自動車(百萬臺) 727.9 888.7 +22.1% マイクロ・コンピュータ(萬臺) 9,336.4 12,073.4 +29.3% 非鉄金屬10 種(百萬t) 1,917 2,350.8 +22.6% 原料炭(億t) 23.8 25.36 +6.6% 原油(億t) 1.84 1.87 +1.6% IC (億個) 335.8 411.6 +22.6% 攜帯電話(萬臺) 48,013.8 54,857.4 +14.3% 表Ⅱ-2-1. 2007 年の中國経済狀況の対前年比較 (1)硬質合金 2006 年の統計によると、硬質合金の生産量は14,967t、 輸出量3,069.7t を差し引くと金屬量換算で10,117t だった。 硬質合金分會の統計によれば、2007 年の國內硬質 合金生産量のうち、統計のとられた44 社の生産量は 14,207.31t であったが、統計外で市場に流通したもの を2,000 ~ 3,000t とすると、総生産量は16,500t となる。 さらにそれから輸出量3,705.13t を差し引くと12,794.9t になり、金屬量換算で10,619.7t、前年比502.7t の増加 であった。 2007 年の鋳造炭化タングステンは188t、すなわち タングステン金屬量で179t 増加している。 2006 年の外國企業の中國における硬質合金販売量 は約600t であったが、2007 年の外國企業のそれも同 じように増加した。サンドビック社を例にとって見 ても、その中國における年間販売量が20%ずつ逓増 している。成長率を10%とすると、2007 年は約660t、 金屬量で50t 増加したことになる。 すなわち硬質合金の消費量は前年比で少なくとも 732t 増加したことになる。 なお、2007 年の硬質合金のタングステン金屬消費 量は合計12,237.3t だった。 (2)特殊鋼 高速工具鋼:2006 年の生産量の統計は67,380t だっ たが、2007 年は75,641t、8,261t 増となり、タングス テン金屬の消費量が578.3t 増加した。 統計による生産量の成長率は12.3%で、この成長率 をベースに、統計に含まれていない江蘇省の丹陽飛 達、丹陽精工、江蘇華久等が2006 年に消費したタン グステン金屬量を約2,800t とし、成長率を10%とす ると、280t 増加したことになる。 他鋼種の増加を考慮しなければ、高速工具鋼だけで もタングステン金屬の消費が858.3t 増えたことになる。 他鋼種のうち、2007 年の金型鋼は37.8%増、合金 構造鋼は23.2%増だったが、これに基づいて計算する と、他鋼種のタングステン金屬消費量は約150t だっ たことになる。 以上を合計すると、特殊鋼におけるタングステンの 消費は1,008.3t 増えたことになる。 2007 年の特殊鋼におけるタングステン金屬の消費 量は合計9,259.3t だった。 (3)タングステン材料 タングステン材料では、タングステン線の生産量の (677) 92 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 伸びが比較的大きく、照明協會の統計によると、2007 年のタングステン線の生産量は241 億m、すなわち 前年の190 億m と比較して26.8%増で、タングステ ン金屬量消費は168.8t 増であった。 高比重合金では、攜帯電話の振動モータの伸びが比 較的大きく約14.3%増、その他の製品を加えると、タ ングステン金屬消費量は2006 年比で約120t の増加で あった。 タングステン銅・電極・電工合金の伸びは小さく、 2006 年と比べ大きな差はなかった。 タングステン材料の総消費量は約290t 増加している。 2007 年にタングステン材料によって消費されたタ ングステン金屬量は合計4,004t だった。 (4)化學工業 2007 年は中國國內原油加工量が4.9%増となり、タ ングステン金屬量消費もこの比率に従って38t 増えて いる。他の化學工業分野で増加した消費を加えると、 化學工業分野におけるタングステン金屬量消費は約 50t 増えたことになる。 2007 年の化學工業のタングステン金屬消費量は 2,574t だった。 2007 年のタングステン金屬量消費は前年比で合計 2,080.3t の増加であった。2006 年の金屬消費量が2.6 萬t であったので、2007 年のタングステン消費量は2.8 萬t だったことになる(表Ⅱ-2-2)。 消費構成は以下のとおりである(図Ⅱ-2-1)。 消費量(t) 構成比(%) 前年構成比(%) 硬質合金12,237.3 43.6 44.3 特殊鋼9,259.3 33.0 31.0 タングステン材料4,004 14.3 14.3 タングステン化學工業2,574 9.2 9.7 合計28,074.6 表Ⅱ-2-2. 2007 年中國タングステンの各種消費分野における消費量とその割合
図Ⅱ-2-1. 中國タングステンの各種消費分野が占める割合 Ⅱ-2-2. 2007 年の國內タングステン原料の供給 (1)タングステン精鉱の供給量 上記の消費構成に基づきタングステン精鉱の供給量 を換算すると、以下のようになる。 硬質合金: 12,237.3t、タングステン精鉱の実収率を 93%として計算すると、25,550.3t のタング ステン精鉱が必要になる。 特殊鋼: 9,259.3t、タングステン精鉱の総合実収率を 94%として計算すると、19,126.8t のタングス テン精鉱が必要になる。 タングステン材料: 4,004t、タングステン精鉱の総合 実収率を93%として計算すると、 8,360t のタングステン精鉱が必要 になる。 タングステン化學工業: 2,574t、タングステン精鉱の 総合実収率を95%として計 算すると、5,261.1t のタング ステン精鉱が必要になる。 合計58,298.2t のタングステン精鉱が必要になる。 外國企業が中國で販売する硬質合金量660t、タング ステン精鉱量換算1,143.8t を差し引くと、國內で消費 するタングステン精選量は合計57,154.4t となる。 中國の輸出量を考えると、タングステン精鉱の供給 はかなりの數量になる。 2007 年のタングステン製品の輸出量は金屬量30,021.2t で(硬質合金は除く)、その內訳は以下のとおりであ る(表Ⅱ-2-3)。 換算すると、合計68,162.1t のタングステン精鉱が必 要になる。 內需と輸出に必要なタングステン精鉱量は合計 125,316.5t となる。 (2)タングステン精鉱の消費を補充するための方法 ①輸入 2007 年の輸入量とタングステン精鉱換算量は表Ⅱ-2-4 (678) 2009.1 金屬資源レポート93 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム に示すとおりである。 タングステン精鉱の輸入だけでも9,310.8t になり、 その他のタングステン製品の精鉱換算量が1,280.3t で、合計10,591.1t であった(表Ⅱ-2-4)。 ②廃タングステンの利用 原生タングステン価格が下っているが、廃タン グステン由來の製品の品質は原生タングステンを加 工したものよりも悪いことは間違いなく、価格差が 縮小傾向にあることもあり、2007 年の廃タングス テン利用量の増加幅は小さかった。やはり前年の 21.4%の利用率で計算すると、國內タングステン精 鉱消費における廃タングステン消費はタングステン 精鉱12,231t に相當する。 以上2 項目のタングステン精選量の合計は22,822.1t。 2007 年の國內タングステン精鉱の実質供給量は 102,494.4t。 公表された統計數量の80,438t と2.2 萬t の差がある。 江西省の統計によると、2007 年の江西省のAPT 生 産量は5.68 萬t で、タングステン鉄・タングステン酸・ メタタングステン酸アンモニウム等その他のタングス テン製品の生産量を計算に入れなくても、8.18 萬t のタ ングステン精鉱原料が必要になり、公表されているタ ングステン精鉱の生産量は明らかに少ないことになる。 Ⅱ-2-3. 2007 年の國內タングステン原料の供給構造 (1)企業のタングステン原料品種構造の変化 産地におけるタングステン工業の構造的な変化に よって、中國タングステン工業の原料供給が品種的に 大きな変化が生じている。 中國のタングステン工業は単純なタングステン精鉱 の生産から、タングステン中間製品の生産及びタング ステン加工の方向に発展してきている。1980 年代以前 には以下に挙げるタングステン製錬・加工企業がいく つか形成されていた。すなわち、1950 年代に建設され た株洲硬質合金莊、贛州精選廠、大連硬質合金廠、本 渓タングステン・モリブデン材料廠、吉林鉄合金廠、 牡丹江北方工具廠、西安華山機械製造廠等である。 1960 年代には自貢硬質合金廠、南昌硬質合金廠、 上海硬質合金廠、上海タングステン・モリブデン材料 タングステン製品名輸出量必要なタングステン精鉱量 タングステン酸1,161.3 1,728.8 三酸化タングステン4,653.7 7,514.4 上記以外のタングステン酸化物及び水酸化物7,267.5 11,735.0 APT 5,526.3 7,824.5 タングステン酸ナトリウム249.6 318.1 メタタングステン酸アンモニウム1,778.4 2,508.1 その他のタングステン酸塩0.2 0.3 タングステン鉄6,628.3 10,189.1 タングステン粉1,473.2 3,043.2 炭化タングステン2,935.8 5700.6 それ自體あるいは金屬粘結剤と混合した未焼結金屬炭化物3,487.3 6,483.3 タングステン條材、棒材、型材・異型材、板材、片材951.7 1,987.1 タングステン線576.9 1,217.6 その他のタングステン製品630.9 1,265.0 硬質合金3,705.1 6,647.0 合計- 68,162.1 表Ⅱ-2-3. 2007 年タングステン製品輸出と必要なタングステン精鉱量 (単位:t) 表Ⅱ-2-4. 2007 年の輸入量とタングステン精鉱換算量 (単位:t) タングステン製品名輸入量タングステン精鉱換算量 タングステン精鉱9,310.8 9,310.8 三酸化タングステン1.6 2.6 APT 15 21.2 タングステン酸ナトリウム1 1.3 メタタングステン酸アンモニウム10.3 14.5 その他のタングステン酸塩0.2 0.3 タングステン鉄243 373.5 タングステン粉51.3 106 炭化タングステン28.2 54.8 それ自體または金屬粘結剤と混合した未焼結の金屬炭化物277.1 520.7 末鍛造タングステン19.4 40.5 タングステン條材、棒材、型材及び異型材69.4 144.9 合計- 10,591.1 (679) 94 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 廠、龍巖粉末冶金廠、贛州タングステン・モリブデン 材料廠、北京硬質合金廠、天津津東化工廠、太原硬質 合金工具廠、株洲タングステン・モリブデン材料廠、 中南大學粉末冶金廠、長沙特殊硬質合金廠、南寧硬質 合金廠、成都硬質合金工具廠、峨嵋鉄合金廠、寶鶏非 鉄金屬加工廠、江蘇東臺タングステン酸廠等が次々に 建設された。 1970 年代には無錫ボーリング工具廠硬質合金分廠、 済南冶金科學研究所、大余非鉄金屬選鉱冶金廠、北京 タングステン・モリブデン材料廠、廊坊タングステン・ モリブデン材料廠、國営建昌機械工場特殊工具分廠等 が建設された。 1980 年代に建設されたものとしては、贛州801 廠の タングステン生産ライン、山東文登化工廠、廈門タン グステン製品廠、崇義冶金化學製品廠、清河県硬質合 金廠、江漢石油ボーリングビット粉末冶金廠がある。 これらの企業のうち津東化工廠、東臺タングステン 酸廠、大余非鉄金屬選冶廠、801 廠、山東文登化工廠、 廈門タングステン製品廠、崇義冶金化工廠以外は、タ ングステン精鉱を使って輸出用のAPT、タングステ ン酸、酸化タングステンを製造し、吉鉄(吉林鉄合金 股份公司)と峨鉄(峨眉鉄合金(集団)股份有限公司) のタングステン鉄以外は、全てタングステン精鉱を購入 して硬質合金またはタングステン條材・線材・材料を 製造していた。この時點では、製錬企業も加工メーカー もタングステン原料にタングステン精鉱を使っていた。 ところが、1990 年代以降、こうした狀況に変化が 起こり始めた。 1990 年代には無錫恒豊硬質合金製品有限公司、天 工実業集団公司、飛達工具公司、廈門春保精密タング ステン鋼製品公司、贛州南方非鉄金屬製錬所、華興タ ングステン製品有限公司、江西佳潯タングステン業有 限公司、北京天龍タングステン・モリブデン科技有限 公司、安泰科技股份有限公司難溶分公司、衡陽市南東 非鉄金屬有限公司、恵州金菱非鉄金屬製錬所、潮州翔 鷺タングステン業有限公司等が建設された。 2000 年初頭には、江西耀升工貿発展有限公司、贛 県世瑞鉱山物製品貿易有限公司、贛州江タングステン 合金有限公司、贛州市信達タングステン・モリブデン 有限公司、贛州遠馳新材料有限公司、江西鑫盛タング ステン業有限公司、贛北タングステン業有限公司等が 次々に建設された。 この時點で企業が必要とするタングステン原料に以 下のような変化が起こり始めた。 ① 贛州南方、華興、佳潯、恵州金菱、翔鷺、南東、耀 昇、世瑞、鑫盛、贛北等のAPT メーカーが増え、 これらの企業が硬質合金メーカーとタングステン材 料メーカーにAPT または酸化タングステンを供給 するようになった。 ② 恒豊、天龍、安泰科技、遠馳等の新興タングステ ン加工メーカーがタングステン精鉱に替わって、 APT または酸化タングステン、タングステン粉、 炭化タングステンを原料にするようになった。 ③ 倒産した津東と東臺以外の従來AP だけを製造して いた廈門タングステン業、山東文登、大余(現在は 偉良)、崇義(現在は章源)等の企業が、タングス テン粉、炭化タングステン、さらには硬質合金、タ ングステン材料に生産転換を図った。 ④ 1990 年代以降に設立されたAPT メーカーも急速に タングステン粉や炭化タングステン加工製品の製造 を進めている。これらには南東、耀昇、世瑞、贛州 南方(現在は特精)、翔鷺がある。 ⑤ 一貫してタングステン精鉱を原料として使ってきた いくつかのメーカーが、APT または酸化タングステ ンを原料として購入するようになった。こうしたメー カーには自貢、大連、中南大學、文登、春保がある。 2007 年にはこのような構造的な変化が顕在化した。 APT の製造がタングステン精鉱の産地で集中的に行 れるようになったために、タングステン精鉱の産地か ら遠いタングステン加工メーカーのタングステン精鉱 の購入が難しくなり、産地の製錬所からAPT または 酸化タングステンを購入しなければならなくなった。 2007 年現在、全國のAPT メーカーは合計51 社、 生産能力は16.62 萬t である。タングステン精鉱の 産地である江西省、湖南省、広西自治區、雲南省の APT メーカーの生産能力は13.32 萬t で生産能力の 80.1%を占めている。産地以外のAPT メーカーはお およそ以下のような狀況にある。 ①清河等のように廃タングステンを原料として使う ②廊坊のように他企業のために代理加工を行う ③春保のようにラインが遊休狀態になっている ④ 廈門タングステン業や大連のようにタングステン資 源産業に業務を拡大している。 (2)原料供給地域の分布と変化 (2-1)従來の原料供給地域 ①江西省 江西省のタングステン工業は全國のタングステン 製錬・加工企業向けタングステン精鉱原料の供給省 という位置付けで、1990 年代には既に大規模なタ ングステン製錬のための拠點が建設され、2000 年 以降はタングステン粉・炭化タングステン・硬質合 金等を製造するようになり、今や省內外の企業向け にAPT・タングステン粉・炭化タングステン等の タングステン原料を提供するまでになっている。 現在、江西省にはAPT メーカーが合計21 社(全 國既存APT メーカーの41.2%)あり、生産能力は9.27 萬t で全國の55.8%を占めている。江西省が公表した 2007 年のタングステン粉生産量は5,360t、炭化タング ステン生産量は4,693t で、共に商品量であることを考 慮すると、APT の需要量は最多で14,310t になる。江 西省の2007 年のAPT 輸出割當量は1,408t であるこ とから、2007 年に生産した56,836t のうちの4.11 萬t は省外企業に販売しなければならないことになる。 (680) 2009.1 金屬資源レポート95 海外情報紹介中國タングステン・モリブデンフォーラム タングステン粉や炭化タングステンに加工されたタ ングステンについては、江西省は今でも量的に省內だ けではまかないきれないほどのものを抱えている。江 西省が公表している統計では、硬質合金の生産量は 977t、タングステン線175t、タングステン棒88t とい う狀況であり、せいぜい300t 余りのタングステン粉 と900t 余りの炭化タングステンがあればよいことに なる。江西省の2007 年のタングステン粉と炭化タン グステンの輸出割當量は792t であり、公表されたタ ングステン粉の生産量に同省で炭化タングステン加工 に使用される量が含まれていることを考慮すれば、少 なくとも4,900t のタングステン粉と炭化タングステン を省外に販売していることになる。 以上のようなことから、江西省は既に國內最大の APT・タングステン粉・炭化タングステン供給拠點 になっていることが分かる。 なお、江西省はAPT・タングステン鉄・メタタン グステン酸アンモニウム・タングステン酸等の生産用 に少なくとも9 萬t のタングステン精鉱が必要だが、 江西省自體が生産するタングステン精鉱量は、有色金 屬協會の統計によれば37,250t になっているが、もし そうだとすれば、省外から少なくとも5 萬t のタング ステン精鉱を購入しなければならないことになること から、江西省には中國最大のタングステン精鉱購入省 という側面も持っていることが分かる。 ②湖南省 湖南省も徐々にタングステンの大産地として頭角 を現し始めている。2007 年の統計では、タングステ ン精鉱の生産量は30,952t と、既に江西省の生産量に 近づいている。表Ⅴ-4 から湖南省のタングステン精 鉱生産量の伸びが非常に速く、逆に江西省は年々減 少していることが分かる。新田嶺鉱區の統合と一部 鉱山の能力拡大工事が竣工した暁には、湖南省のタ ングステン精鉱の生産量が今後も継続的に増えてい くものと思われる(表Ⅱ-2-5)。 なお、湖南省ではタングステン製錬・加工業も発展 している。株洲の硬質合金工業を中心にAPT 生産能 力は既に3 萬t 超、硬質合金の生産能力は9,100t 超と なっている。また辰州鉱業が業務を拡大してタングス テン製錬を行うようになっている他、衡陽地區の南 東・創大・春昌・世紀特殊、株地區の精誠・華信・長 鷹・精工等の民営企業も一定規模の製錬加工能力を備 えるようになっている。なお、炎陵や安化には廃タン グステン利用基地が建設されている。 表Ⅱ-2-5. 近年の江西省と湖南省のタングステン精鉱生産量の比較 (単位:t) 年度2004 2005 2006 2007 湖南省19,993 21,369 27,001 30,952 江西省50,968 44,744 40,142 37,250 湖南/江西(%) 39.2 47.8 67.3 83.1 ③その他の地區 例えば雲南省や広西省がある。紫金集団が雲南省 麻栗坡に進出し、7 月28 日には広西省に有色金屬 集団が設立された。この2 省のタングステン資源が 江西省に見られたような発展の道を歩むことは間違 いないように思われる。麻栗坡では既にAPT 製造 ラインが完成し、平桂飛蝶のAPT 製造ラインは珊 瑚鉱の生産が回復したことで原料が確保されるよう になっている。 (2-2)新たな原料供給地域 ①河南省 洛陽の欒川モリブデン業集団と廈門タングステン 業が協力して、2003 年5 月に白タングステン回収 製造ラインを建設した後、2006 年7 月には処理量 を4,500t から15,000t まで拡大し、2007 年にはさら にもう1 本の15,000t 白タングステン回収製造ライ ンを単獨で建設し、白タングステン生産量を5,000t 超に増やしている。 欒川地域の他の企業も続々と白タングステン回収 事業に參入しているので、河南省のタングステン精 鉱の伸びはまさに推して知るべしという狀況にある。 白タングステン回収と同時に、欒川地域では既に APT 製錬製造ラインの建設も始まっている他、タ ングステンの付加価値加工産業の発展も計畫されて いる。 ②甘粛省 甘粛省有色金屬地質探査局傘下の甘粛九州鉱業調 査有限責任公司、甘粛祁龍実業有限責任公司會社と 甘粛建新実業集団有限公司が合弁で設立した新洲鉱 業有限公司が、2007 年下期に処理量27 萬t の採掘 選鉱工事を完成し、國土資源部の認可を得ている。 年間生産量指標は1,500t である。計畫に従い次は 4,000t のAPT 製造ラインを建設することになって いる。 ③福建省 廈門タングステン業が株式支配をしている寧化行 洛坑タングステン鉱山が、2007 年11 月1 日に竣工 式典を行った。黒白タングステンの総埋蔵量30 萬 t という國內十大タングステン鉱區の一つである行 洛坑タングステン鉱區から生産されるタングステン 精鉱は3,600t 超、タングステン中鉱は5,000t 超で、 廈門タングステン業にとって原料がより確実に保障 されることになる。 タングステン精鉱の現地消化の傾向がますます顕 著になり、タングステン精鉱生産地には必ずタング ステン製錬と加工メーカーがあるような狀況になっ (681) 96 2009.1 金屬資源レポート 中國タングステン・モリブデンフォーラム海外情報紹介 ている。以上のような狀況を受けて、國內で流通し ているタングステン原料がAPT と酸化タングステ ンになっているが、今後はさらに進んで國內で流通 するタングステン原料の主役がタングステン粉また は炭化タングステンに変わっていくものと思われる。 國內タングステン原料の供給構造の変化によっ て、タングステン製錬一次製品の生産能力が拡大 している。2007 年に新設または能力が拡張された APT 製造ラインは6 本を數え、生産能力が1.5 萬t 増えている。また建設中または拡張中のものが3 本 あり、生産能力は1.2 萬t となっている。新設タン グステン鉄製造ラインは1 本で、生産能力は3,000t である。2007 年に新設または拡張されたタングス テン粉製造ラインは7 本で、生産能力は1.33 萬t で ある。建設中または建設を計畫しているものが3 本 あり、生産能力は9,000t となっている。 過剰な生産能力は、公共資源の浪費であると同時 に、川上の原料と後続製品とで市場を爭奪するとこ ろとなり、それが市場価格の変動もたらし、市場の 安定が破壊されることにもなりかねない。この點は タングステン業界及び政府が十分に注意を払い、解 決のための措置を講じていていくべき大きな問題で あると考える。
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